エンゼルケアとは、看護師が患者の臨終後に行うものです。故人に対して行う清拭や穴詰めなどの死後の処置、家族への対応、葬儀社への引継ぎからお見送りまでを指します。
基本的に、家族に一時退出してもらって処置を行うことになるでしょう。しかし、なかには家族に希望を確認して、一緒にエンゼルケアを行う病院や、独自のサービスとして、着物の着せ替えや化粧を行う病院もあります。看護師によるエンゼルケアに共通したルールは法的に定められておらず、個々の方針によって処置内容が異なるのが現状です。
手を組ませるためにガーゼで巻いたり、口を閉じるためのバンドを使っている病院もあるようですが、宗派によって腕の組み方などは異なります。病院でエンゼルケアを行う時には、胸の前で組まず、お腹のあたりで自然に手を組むようにしておきましょう。
また、仏教の宗派によっては、無理に目や口を閉じないことをよしとしているので、配慮することが大切です。教義によって、フルの化粧をしてはいけないケースも予測されるため、エンゼルケアを行う前に、家族に処置内容などを説明して確認しましょう。
小さなことですが、髪や化粧を整える時にも、あらかじめ家族の希望をヒアリングすることで、家族だけでなく故人にも喜ばれるエンゼルケアを行えるようになります。エンゼルケアは、故人の尊厳を傷つけないように配慮するだけでなく、残された家族のために行うものでもあることを心に留め、適切な対応を行うことが重要です。